021.朝の身支度
020.夜だけの喫茶店
019.マンドラゴラ
018.仲間たち
017.梨
016.行動力
015.時間の皮を
外は暗くなってきて、私は部屋の電気を付けた。
もう一度椅子に座り直して、息を吸って、吐いて、それから、ゆっくりと線を書き足した。
鉛筆の先を目で追うことで、一瞬前の位置から、まっすぐ下に伸ばしていくこと。
子供用の安物だけど、ほどよく粗くて、肌触りもどこか懐かしい落書き帳を、少しずつ、縦縞模様で埋めていく。
014.雨にも歩けば
折りたたみの傘でも、無いよりはマシだった。古本は買わないで正解か。汚れたりすると良くない。
ちょみは穏やかに歩いていて、時折振り向いたりするのがリード越しにわかる。もうお互いにいい歳なので、カミナリが近かったり、美人が雨に濡れつつ走っていたりしても、まあ、はしゃぐということが無くなった。
013.ライデイン
回送のバスが横切って、信号は青になる。車通りは少なくて、やけにヒールの音が響く。
達樹は徹夜明けなのだろう、メッセージが既読にならない。夕方に顔を出そうか、でも一度事務所を出ると戻るのが億劫で悩む。
011.ESP
010. 今度恋に落ちるときは
禁煙席は通りに面した窓側で、いつも奥から3番目の席に案内される。
ご注文が決まりましたら、そちらのボタンでお呼びください。と言って店員の女性は厨房へ戻り、僕らとメニューと、水2つがテーブルに残った。